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「まあ、綺麗。どこの令嬢かしら？」



たくさんの人たちに注目されてドキドキした。



まずはパーティの主役の人に挨拶する。



着物を着た綺麗な女性。



このお屋敷の女主人らしい。



志桜さんが彼女にお誕生日のお祝いの言葉を言ったあと、あたしのことを紹介した。



「僕の婚約者です」



あたしは慌てないように挨拶をする。



落ち着いて、丁寧に、習った通りに。



「浅川優依と申します。どうぞよろしくお願いいたします」



着物を着た綺麗な女主人は優しそうに笑った。



「まあ、可愛らしい婚約者さんね」



「ありがとうございます」



よかった。



印象は悪くなかったみたい。



それからあたしたちはいろんな人と挨拶をした。



みんないい人ばかりだと思ったけど。



ちょうどトイレに行こうと一人でお屋敷を歩いていた時、衝撃的なことがあった。



「何？あの子。知らない子だわ」



「大神くんには他に婚約者がいなかったかしら？」



「ちょっと庶民って感じだわね」



どこへ行っても陰口を叩かれちゃうんだなあ…



ショックを受けてそのまま戻った。



「優依？どうしたの？」



志桜さんに声をかけられて、あたしは泣きそうになるのを堪えた。



あたしじゃ、彼の相手に相応しくないのかな。



どんなに努力しても、あたしは令嬢じゃない。



「優依、帰ろうか」



志桜さんはあたしの背中に腕をまわした。