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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第17章 一生分の愛

あれから3カ月くらい経った。



キツイつわりの時期が終わって、安定期に入ったけど、



志桜さんはそのことを知らない。



あたしはずっと眠り続ける彼に今日も話しかけてる。



「ね、志桜さん。昨日悠樹くんと喧嘩しちゃった。たいしたことじゃないんだけど」



「あたし、また学校再開したよ。生まれるギリギリまで授業を受けようと思ってる。みんなが支えてくれるから、ホントにありがたいよ。頑張って卒業するね」



「ね、志桜さん。赤ちゃん元気に育ってるよ」



お腹に手を当てて話しかける。



「あなたもパパに会いたいよね?でもね、パパはずっと寝ているの。いつ起きてくれるのかな?」



静かな病室にあたしだけの声がする。



「あたし、毎日幸せよ。大神家の人たちがみんなよくしてくれるから。志桜さんと結婚してよかった。あなたはあたしに家族を与えてくれたんだよね」



「寂しくないよ。みんな、いてくれるから…」



胸が熱くなって、涙がぽろりと落ちた。



「さみ…しくなんか…」



志桜さんの寝顔を見ていると涙がどんどん出てくる。



「寂しいよお…」



あたしは声を上げて泣いた。



「志桜さん、起きてよお…あたし、あなたがいないと、寂しくて、死んじゃいそうだよお…」



赤ちゃんを守らなきゃいけないのに、



あたしは心がくじけそうだった。







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