テキストサイズ

甘い鎖~縛られて溶かされる~

第17章 一生分の愛

臨月に入った。



あたしは20歳の誕生日を迎えた。



今日も志桜さんの病室で彼に話しかけている。



「昨日、みんながあたしの誕生日を祝ってくれたの。不思議ね。あたし、こんなに若くしてママになるなんて思わなかった」



「ね、志桜さん。赤ちゃん、男の子だよ。きっと志桜さんに似てイケメンになるね。楽しみだなあ」



「悠樹くんはね、一緒にサッカーをするんだって。今から楽しみだって。うふふ…最近は喧嘩してないよ」



「後ね、おじさまが入院したの。お医者さまによるともう長くないって。おじさまが元気な頃はあんなに女の人が家に来ていたのに、今はまったく来なくなったよ」



「あの家にはあたしたち家族だけ。だから、志桜さんは安心して帰ってこれるよ。おじさまのことを考えたら少し複雑だけど、あたしは家族だけでいられるあの家が大好きよ」



今日も志桜さんは何の反応もなかった。



あたしはしばらく彼の顔を見つめて、



諦めたように病室を出た。



「また来るよ」









ストーリーメニュー

TOPTOPへ