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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第17章 一生分の愛

産むときは壮絶すぎて記憶が曖昧だったけど、



それから2日、3日と時間が経ってくると実感した。



小さな命を見て、



あたし、ママになったんだって。



「すげえなあ。ホントに生きてる」



悠樹くんはいつ来ても赤ちゃんを見るたびにそう言った。



「名前どうすんの?」



「名前は…」



候補はあるけど、志桜さんと一緒に決めたかったなあ。



だけど彼は…



「志桜さんはあれからどうなったの?」



「特に変わんねえよ。あの時目が覚めるかと思ったけど」



「そっか」



まだ、起きてくれないんだね。



あなた、パパになったのに…



「退院したら、赤ん坊つれて行ってみたら?」



「そうだね」



だけど、



出産を終えた後のあたしは、すごく情緒不安定だった。



退院した後、大神家の人たちが手伝ってくれたけど、



赤ちゃんはずっと泣いてて、



あたしは一睡もできなくて、



産後の痛みもあって、



辛くて泣いてばかりだった。



使用人の女性たちが手伝ってくれて、



ありがたいんだけど、



赤ちゃんはあたしがいないとずっと泣くの。



だから、



休ませてもらいたいけど、あたしはずっと赤ちゃんのそばにいた。



ぜんぜん泣き止んでくれなくて、



それってもしかして、あたしがまだ大人になりきれてないからかなあって。



落ち込んだ。



もっと大人のママだったら、うまく子育てができるのかなあって。




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