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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第4章 感じちゃう

微妙な沈黙が訪れる。



志桜さんはすぐに答えない。



あたしは少し気になって、彼にちらりと目を向けた。



彼はゆっくりとお茶を飲んでいる。



変な緊張が走る。



ドキドキして、食事の手が止まる。



「いませんよ」



志桜さんが淡々とした声で言った。



「それならもう一度よく考えてみなさい。これは大神家の問題でもある」



志桜さんはため息まじりに「わかりました」と言った。



長男って大変なんだろうなあって、あたしは他人事のように思った。



「優依、君は恋人がいるのか?」



「ふ、えっ?」



急におじさまに話を振られて、びっくりして変な声が出た。



「あ…はい。います」



そう言うと、おじさまはにっこりと笑った。



「そうか。どんな人だ?」



「えと…優しくて、誠実な人です」



「それはよいな。嫁に行くなら早い方がいい。何もここを追い出そうというわけじゃないぞ。お前は苦労してきたから、早く幸せになってほしいという私の願いだ」



「あ、ありがとうございます」



あたしはなんだかうれしくなって、頬が緩んだ。



「ああ…しかしせっかく娘ができたから、もうしばらくはいてほしいな」



「はい、もう少しお世話になりたいと思います」



あたしが笑顔で言うと、おじさまも笑った。








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