テキストサイズ

甘い鎖~縛られて溶かされる~

第4章 感じちゃう

「では、私は先に失礼する。お前たちはゆっくり食事をしていきなさい」



おじさまは少し料理を残した状態で立ち上がった。



彼はいくつもの企業を経営していて、とても忙しい。



家でも夜に部屋でお仕事をしているみたい。



「ああ、そうだ」



おじさまが振り返ってあたしを見る。



「優依はもうすぐ誕生日だな。何かほしいものはないか?」



誕生日という言葉にドキッとした。



「いいえ。特に何もありません。ここに置いていただけるだけでありがたいです」



「娘なのだから、我儘を言ってもいいのだぞ」



「えっと…」



あたしが返答に困っていると、志桜さんが立ち上がった。



「では僕も先に失礼します」



彼はそう言って、さっさとダイニングルームを出ていってしまった。



おじさまは「考えておきなさい」と言って、志桜さんの後を追うように部屋を出ていった。



あたしと悠樹くんだけが残されて、またしんと静けさが漂った。



「優依さま、お茶のおかわりはいかがですか?」



三坂さんに声をかけられて、あたしは「ありがとう」と言ってお茶を淹れてもらった。



「悠樹さまもいかがですか?」



三坂さんが声をかけると、悠樹くんは急に立ち上がった。



「いらない。ごちそうさま」



彼はそう言って足早に部屋を出ていった。



あたしだけ、残されてしまった。










ストーリーメニュー

TOPTOPへ