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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第4章 感じちゃう

「悠樹さまには少々辛い状況だったかもしれませんね」



三坂さんが意味ありげにそう言った。



「どういうことですか?」



「ええ。旦那さまは珍しく食事の席にいらっしゃったのに、悠樹さまには一切声をかけられなかったでしょう?」



「そういえば…」



悠樹くんはおじさまと一言も話していない。



「旦那さまは長男であられる志桜さまに手をかけておられて、悠樹さまはほとんど使用人にお任せになっておられましたからね。悠樹さまもお寂しいんでしょう」



「そうなんですね」



なんだか、あたしが寂しくなってきた。



「悠樹くん、本当はいい子ですよね。素直で」



あたしがそう言うと三坂さんは驚いた顔をして笑った。



「そうなんですよ。優依さまは気づいてくださいましたか。ありがたい」



「三坂さんは悠樹くんのことが大好きなんですね」



「私は志桜さまも悠樹さまもとても大事に思っております」



そう言って微笑む三坂さんからはとても優しさが溢れている。



あたしはまだ、このお屋敷の人たちのことをあまり知らない。



ここに来てずっと気が重たかったけれど、悠樹くんは話しやすそうだし、少しずつ知っていけたらいいな。





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