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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第4章 感じちゃう

「悠樹くん、おはよう」



あたしは早起きして学校へ行く準備をして、自分から悠樹くんに話しかけてみた。



彼は不機嫌な顔であたしを見て、頭をかいた。



「…はよ」



小さな声だけど、挨拶を返してくれた。



「今日、一緒に学校へ行かない?」



「絶対に嫌だ。女と一緒にいると思われたくない」



「どうして?お姉ちゃんだと思っていいよ」



「は?バカ。お前なんか姉貴じゃねぇし」



悠樹くんはわかりやすいほど真っ赤な顔をして焦り出した。



可愛い…



悠樹くんと一緒にいれば、志桜さんはあたしに何もできなくなる。



そのことに気づいたのは数日前。



だから、あたしはちょっとだけ彼を利用することにした。



悠樹くんには悪いけど…



それでも彼と仲良くしたいという気持ちも本当。



志桜さんは仕事が忙しくなり、お屋敷で顔を合わせることが少なくなった。



夕食もあたしと悠樹くんのふたりか、時々おじさまと三人での食事になった。



もしかしたら、このまま平穏な日常が続いてくれるんじゃないかって、あたしは期待した。



晃くんとも毎日放課後に図書館で一緒に勉強して、学校生活も穏やかに過ごせるようになった。



大丈夫だ。



あたし、なんとかやっていける。



そう思っていた。





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