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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第4章 感じちゃう

「呆れた人だよね」



志桜さんが冷たい口調で言った。



「まあ、僕もその血を継いでいるんだけどね」



窓の外が白く光り、すぐ後に雷の音がした。



ドクン…



あたしは我に返る。



そうだ。こんなところでふたりきりになってはダメ。



「志桜さん、こんな時間までお仕事だったんですか?」



彼がまだ外着だったので、慌ててそんなことを言った。



なんでもいい。話題を別のところへ逸らしたい。



「最近、忙しくてね」



「そうですか。大変ですね」



志桜さんは黙ってあたしを見ている。



「あの…あたし、部屋に戻らなきゃ」



急いでドアノブへ手をかけたら、背後から抱え込まれて手を握られた。



「こんな時間に何をしていたの?」



ドクン、ドクン、ドクン…



「えと…喉が渇いちゃって、水を…」



「そうか。ここにあるよ」



「え?」



彼は棚の下に据え付けられた小型冷蔵庫の中からペットボトルの水を取り出した。



「客が寝泊まりしたときのために常備してある。清掃の人が毎回チェックしているからね」



「そうなんですね」



そういえば、この部屋は誰もいないのにベッドのシーツが整えてあるし、掃除も行き届いている。



「ありがとうございます。じゃあ、あの…おやすみなさい!」



あたしは水を受けとって、すぐに部屋を出ようとした。



トン…







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