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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第4章 感じちゃう

「え…」



志桜さんがあたしを背後から包み込むようにして、ドアに手を置いた。



「ダメ」



彼の声が耳元で聞こえた。



「あ…戻らなきゃ」



声が震える。



「この部屋を使っていいよ。君の部屋は遠いからね」



ドクン、ドクン、ドクン…



「だ、大丈夫です」



「手が冷えてる」



志桜さんがあたしの手を握る。



彼の背後には窓が見える。



稲光が走った後、地鳴りのような雷鳴がとどろいた。



「きゃあっ!」



怖くなって目を閉じると、志桜さんがあたしの耳元で笑った。



「雷、怖いんだ?」



「そんなこと…」



「一緒にいてあげるよ」



「いいえ、結構です!志桜さんはお疲れでしょう?早く、早く自分の部屋に行ってください!」



あたしはなぜか早口になってしまった。



「とりあえず、水を飲んだら?喉乾いてるんでしょ?」



彼は笑っている。



あたしはペットボトルの蓋を開けて、彼の様子を注意深く見ながら水を一口飲んだ。



そして蓋をきゅっと閉める。



あたしはずっと彼を睨んでいる。



「優依は素直だね。心がまっさらで穢れていない。疑うこともしない」



志桜さんは口元に笑みを浮かべたまま、あたしに顔を近づけてきた。



「あ…」



あたしは、水を落としてしまった。










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