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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第5章 怖いのに…

「俺も一口ちょうだい」



晃くんはそう言って、あたしのクレープをかじった。



「あ…」



「美味いね」



関節キスだ…



「優依ちゃんも食べていいよ」



あたしは晃くんがまだ食べていないところを少しだけかじった。



あたしには、晃くんとキスをする資格なんてない。



「うん、美味しい!」



ふたりでクレープを食べながら、おしゃべりをする。



学校帰りの楽しいデート…



それなのに、あたしは純粋に楽しめない。



「そういえば優依ちゃんもうすぐ誕生日だね」



「え…うん。覚えててくれたんだ」



うれしい。



「来週の金曜日だよね。帰りにデートする?」



「え?いいの?でも、晃くん塾があるんじゃない?」



「なんとかするよ。だって誕生日だから一緒にいたいしね」



「うれしい。でも無理はしないでね」



本当にうれしい。



誕生日が憂鬱で仕方なかった。



でも、晃くんと一緒にいられるなら幸せだよ。



幸せでいて、いいのかな…



あたしの心には罪悪感が少しずつ膨れ上がっている。



このまま、何も知らない晃くんと一緒にいてもいいのかな…






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