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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第5章 怖いのに…

おもちゃ売り場と少し離れた場所にある家電量販店へ来ると、悠樹くんを見つけた。



彼はゲームコーナーにいたのだった。



志桜さんが笑みを浮かべながら悠樹くんに話しかける。



「悠樹もほしい物があるなら買ってあげるよ」



「い、いらねえよ!」



悠樹くんは志桜さんの顔も見ずに、さっさと別の場所へ移動した。



あたしは悠樹くんを追いかけた。



志桜さんは先ほど悠樹くんが見ていたゲームソフトを購入している。



あたしは悠樹くんに訊いてみた。



「悠樹くんは、志桜さんのこと嫌いなの?」



「大っ嫌いだ。あんな奴」



思った以上に強い嫌悪感を示されて、ちょっと怖くなった。



「そっか、あたしも」



正直な気持ちを口にすると、悠樹くんはじっとあたしを見つめた。



「お前はなんであいつのことが嫌いなんだ?」



「え…」



そんなこと、言えない。



本当のことは…



「ちょっと、怖いから」



そう言って誤魔化してみた。



「ふうん。別に怖くはないけど、なんか嫌だよな」



「嫌って…」



「まあ理由はいろいろあるけど、とにかく嫌い」



「そっか」



あたし、少し安心してる…



悠樹くんは、もしかしたら味方になってくれるかもなんて…



そんなことを思ったりした。







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