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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第5章 怖いのに…

心地いい風が吹いて、葉っぱがひらひらと舞い落ちてきた。



それが、悠樹くんの髪の毛に引っかかる。



「あ、悠樹く…」



あたしが気づいて声をかけようとしたら、志桜さんが彼に手を伸ばした。



「悠樹、ついてる」



次の瞬間、悠樹くんが思いきり志桜さんの手を振り払った。



「さ、触んなよ!」



悠樹くんは真っ赤な顔をして志桜さんを睨んだ。



志桜さんは一瞬表情が固まった後、すぐに微笑んだ。



「照れないの」



「て、照れてなんかねぇよ。頭おかしいんじゃねぇの?」



悠樹くんの顔はますます赤くなっていく。



志桜さんはにこにこ笑っている。



あたしには不思議な光景に見えた。



「ちょっと、お手洗い。すぐ戻るから」



志桜さんはそう言って席を外した。



悠樹くんは赤面したままハンバーガーを頬張る。



あたしは疑問に思っていることを訊いてみる。



「悠樹くん、本当は志桜さんのこと好きなの?」



「バッ…誰がっ!ごほっ!」



悠樹くんはハンバーガーを喉に詰まらせてむせる。



「だ、大丈夫?」



彼はジュースをぐいっと飲んで、真っ赤な顔をしてあたしを睨んだ。



「嫌いだっつってんだろ!変なこと言うなよ!」



「ごめんね。すごく真っ赤だから、本当に照れているのかなって」



「うるせえよ!妙なこと言うなよ」



「ご、ごめん…」





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