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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第5章 怖いのに…

志桜さんはあたしの背中に手を回した。



「お茶を淹れるから少し座って待ってて」



「え、あの…あたしが」



「優依はじっとしてて。この景色が見られる時間は限られているからね」



「は、はい…」



あたしはソファに腰を下ろし、目の前の夕焼けを眺めて過ごした。



こんなの、見たことない。



胸の奥がじわっと熱くなる。



太陽はあっという間に沈んでしまい、気づいたら暗い空が広がっていた。



「どうだった?」



志桜さんがお茶を淹れてそれらをテーブルに置いた。



「はい。すごく綺麗で、感動しました」



「そうでしょ」



「悠樹くんも見に来ればよかったのに」



「悠樹はこういうのに興味がないんだよ。まあ、見慣れているのもあるけどね」



「そうですか」



あたしだったら、毎日この景色を見たいと思う。



あたしは志桜さんが淹れてくれたお茶を飲んだ。



彼はあたしのとなりに座る。



ちょっと、近い…



緊張してきた。



「今日はね、優依とふたりで出かける予定だった」



彼はあたしの目を見てそう言った。



「すみません…あたしが彼を誘って」



わざとなんだけど…



「いいよ。機会はいくらでもあると思っていたからね」



「あ、何…」



志桜さんがあたしの顔をじっと見つめる。



こ、れは…



まずい、かもしれない…











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