隣のアイドル
第2章 *Episode1
4年前…ーー
柚花を産むと決断したあの日
同時に柚花の父親には二度と会わないと決断した日
「亮平さん、」
「どうした?」
「…あの……デキちゃった、みたい…」
「え?本当に?」
本当なら喜ばしいこと
大好きな人との間に生まれた新しい命
「っ…ごめんなさい……」
でも私は謝ることしかできなかった。
「私…どうしたら……」
この事実が私たちにとって、
どれだけ重大なことなのか。
俯いたまま何も言わない彼の反応に答えは全て出ていた。
「…お金、いくら渡せばいい?」
わかってた。
彼にとっては望まない妊娠だと。
これは受け入れたくない事実だと。
「…っ……お金…いらない…」
涙で言葉が詰まる。
「産むの?」
「………」
正直、答えは自分でもわからなかった。
妊娠したという事実が、
自分自身でまだ受け入れられてなかった。
「認知、できないよ?」
「……わかってる。」
そう、彼は妻子持ち。
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