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隣のアイドル

第6章 *Episode5..




処置室から聞こえてくる柚花の泣き声に胸が張り裂けそうになって、ただただ無事であることを神頼みするしかなかった。




保育園から帰ってきた時に、かかりつけ医でなくてもやってる小児科に連れて行けば良かったー・・・






「美咲さん…、」


「柚花に何かあったら私……」


「大丈夫ですよ。
ちゃんと元気になりますから。」






焦りと不安から、裕太の気遣った言葉さえ根拠のない無責任な言葉として捉えてしまう。







『美咲!』


「亮平さん…!!」





処置室から出てくると、いつもよりもゆっくり優しい口調で話し始めた。






『とりあえず今日は病院で見るよ。』


「えっ!?」


『お腹からくる風邪だね。
下痢と嘔吐、まだ発熱もあるし、定期的に水分とった方がいいから入院させてこっちで見るよ。』


「そんな…!」


『大丈夫。子供によくある風邪の1つだよ。
美咲は家でゆっくり休んだ方がいい。』







美咲の両肩を持ち、軽く揺らしながらなだめる亮平。





不安な表情をしながらも納得したのか、俯きながら美咲は数回頷いた。








『じゃあ、入院の書類だけ書いてくれる?
あと診療記録作るのに、どんな症状だったか時系列教えて。』



「あ、うん…!」







処置室に入るように促されて、そのまま亮平の後をついていく美咲。








「あっ!」と振り返ると、裕太の方へと駆け戻った。







「どうもありがとう。
後はもう、大丈夫。先に帰ってて。」







気の利いた言葉が出てこなくて、


「…うん」


と軽く頷いた裕太を見て美咲は処置室へと入っていった。



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