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隣のアイドル

第3章 *Episode2




今までは何とも思わなかった人なのに……



テレビで見過ごしてた人なのに……



昨日の光景を見てから私の心がモヤモヤして、わからないけどなんとなく胸が苦しくなるー……







「お疲れ」


「…亮平さん……」


「どうかした?」


「……」


「元気なさそうだけど?」






今日は田村さんが休みで、食堂で1人で食べてると亮平さんがトレーを持って現れた。






「今日も学会なの?」


「いや、これから火曜と金曜の外来を担当することになったんだ。」


「え?」


「学部長にお願いされて。」






まさかの答えに目を見開いて固まった。




毎週、火曜日と金曜日は会う可能性があるってこと?






「“最悪“って顔してるな(笑)」






ええ、そのとおり。







「せっかくもう会わないって決めたのに……」


「俺は忘れたことなかったよ。
無事に過ごしてるか心配だった。」


「もっとまともな嘘ついたら?」






亮平を軽く睨みつける美咲




紺色のユニフォームの上から羽織った白衣


黒縁の眼鏡の奥のキレイな瞳




悔しいけど、やっぱりカッコいい……







「もう戻るね。」






お弁当をしまって立ち上がった時、





「美咲、」





あの声で呼ばれると、今でも止まってしまう。






「時間つくれないかな?」


「………


子供いるから無理でしょ。」


「会わせてほしいんだ。



…俺の子に。」








俺の子……




悔しいけど、


腹立たしいけど、


私が命を懸けて可愛がってる柚花が亮平さんとの子供であるのは紛れもない事実ー……


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