隣のアイドル
第3章 *Episode2
神様は意地悪だ。
やっと……
やっとの思いで忘れた人を、
また目の前に現せるなんて……
「柚花、手洗ってうがいしてね!」
「はーい!」
家の玄関を開けると先に柚花が家の中に駆け込んでいった。
美咲も後を追って入ろうとした時、
ーーガチャッ…
隣の玄関のドアが開いた。
「……」
「こ、こんばんは…!」
この間の気まずさが忘れられず、
勇気を振り絞って普通に振る舞う。
『裕太?どうしたの?』
裕太を部屋から押し出すように、後ろから身を乗り出した女性と目が合う。
「し、失礼します…!」
急いで玄関に入ってドアを閉める。
心臓のバクバクが止まらない……
あの人、モデルの清水彩絵さんだよね?
2人付き合ってるんだ……
ドアに寄りかかりながら、
しばらくその場から動けなかった。
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