隣のアイドル
第3章 *Episode2
車の中では終始無言ーー……
半ば強制的に乗せられた立場からすれば、積極的に話す内容なんてなかった。
顔を向ける勇気はないけど、右側で感じる亮平さんの存在に不思議と気まずさは感じなかった。
「あの、そこで降ろして!」
車だとあっという間の距離
でも今日は変わる車窓をずっと見てたから不思議と長く感じた。
「ありがとう。助かりました。」
車を降りる前に一言だけ伝える。
シートベルトを外して高級外車のドアを開けた。
「美咲、」
「……?」
なんだかもう下の名前で呼ばれることに違和感なんて感じない。
否定する気もなくなってる。
「気を付けて!」
「…うん…!」
そんなこと?
改めて言われると、ちょっと拍子抜け。
「じゃ!」と手を軽くあげる亮平さんの合図と共に、この道にはふさわしくない高級車が走り去った。
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