隣のアイドル
第4章 *Episode3
美咲を保育園から連れて帰路につく。
「あ!つくね!」
マンションまであと少しって時、
薄暗い中で犬を連れてる人影が見える。
ここからの距離では顔は見えない。
「あっ!柚花!!」
繋いでたはずの手を離して走り出した柚花を美咲も追う。
「柚花、待って…!」
慣れない走りで足がもつれそうになりながらも視線だけは柚花をとらえてると、斜め少し前に見覚えのある顔。
思わず足を止めた。
「忘れ物」
「……え、」
私のスマートフォンを持ってる亮平さん
急いでカバンの中に手を入れて探るけど、もちろんない。
「あ、私……!」
そう、さっき充電が切れちゃってて車で充電させてもらってたんだっけ……
そのまま忘れていくなんて……
「あ、ありがと…!」
このマンションは亮平さんが契約してくれたから場所も知ってるわけだよね。
「……あの子が?」
スマホを亮平さんから受け取ると、亮平さんの視線は柚花に向けられてた。
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