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隣のアイドル

第5章 *Episode4




「美咲」



「ーー?

…亮平さん……」







お手洗いから出た時に、ちょうど廊下でハチ合わせた。







「何かあった…?」


「え?どうして?」


「いや、なんとなく。」







顔を見た瞬間の一言に動揺する。




こうやって亮平さんは言葉にしなくても私のことをわかってくれる人だと自惚れてたんだっけ。







「何もないよ。

仕事に戻るね。」





背を向けて歩き出した時、



「今日、ご飯でもどう?」




亮平さんの言葉に再び振り返る。






「ご飯…?」


「もちろん、柚花も一緒に。」


「正気なの?」


「父親なら、
娘との時間を大事にして何が悪い?」


「父親?今さら何言っ…
「柚花には何でもしてやりたい。ただそれだけだよ。」






軽く微笑むと立ち去る亮平さんの背中をただ見つめる。




父親……


柚花には必要な存在。わかってる。



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