隣のアイドル
第6章 *Episode5..
タクシーが病院の前に着くと救急の入口から入り、すぐに受付へと駆け寄った。
「あ、あの、電話した朝日奈ですけど…!」
『美咲!』
「ーー?」
深夜の薄暗い病院のロビーに響いた声に反応して咄嗟に振り返ると、いつもの見慣れた格好をした亮平さんの姿があった。
「亮平さん…、」
『柚花は?』
「家で寝てたらお腹が痛いって言い出して、その後突然吐いて、何が何だか私……、
昼間は熱があって保育園から呼び出されて、」
『わかった、とりあえず診るから。』
再び取り乱した美咲を落ち着かせる亮平
柚花への不安な気持ちが一気に爆発して口数が増えたのは、医者という存在が現れたからなのか、亮平の姿に安心感を覚えたからなのか、それはわからなかった。
『とりあえず、中に。』
「柚花・・・」
『美咲はここで待ってて。
後で様子は聞くから。』
「…うん。」
裕太から柚花を受け取ると、そのまま抱きかかえて救急処置室へと連れて行かれた。
扉が閉まると同時にその背中が見えなくなると、一気にドッと体が重くなりその場のソファーに崩れるように腰掛けた。
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