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隣のアイドル

第6章 *Episode5..




「あ、あの…すみません…!
柚花も私も汚れてて……!」






土地柄もあって、割とすぐにタクシーは掴まって、ホッとしたのも束の間ー・・・



自分と柚花の汚れた姿に今度は違う焦りを感じる。







「こんなの洗えば済みますから!」


「いえ、弁償します……!」






嘔吐の独特の匂いがするのに嫌な顔1つしないで、今はスーッと落ち着いて眠る柚花を抱きかかえたまま笑ってくれた。







「蒼井さん、仕事終わりだったんですよね?」


「そうですけど?」


「お疲れなのにすみません…巻き込んでしまって……」


「タイミング良くてよかったです。
あのままじゃ美咲さんがおかしくなってましたよ。」


「あ、そうですよね…取り乱してましたもんね……」







恥ずかしくなって俯くと、太ももの上に置いていた手をソッと握られた。







「やっぱりお母さんなんですね!
いつも冷静で優しい笑顔ばかり見てたので、子供のために必死になってる姿も素敵でした。」







恥ずかしくて、胸がギューッと苦しくなって、何も言えず、何も出来ず、そのまま固まって時間だけが過ぎていった。



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