隣のアイドル
第2章 *Episode1
次の日
「柚花?何してるの?
保育園遅れちゃう!」
エレベーターから降りると、
しゃがみこんで地面を見つめる柚花。
「柚花?もう何して……」
手を引こうとした時、
「ママ見て!アリさん!」
「え?もうやだ…!
汚いから触らないで!」
黒い小さな塊を摘んだ指を見せてきた。
「ほら、もう行くよ!
おててパンパンしてちょうだい!」
柚花の腕を引いて立ち上がらせると、すぐに手のひらを叩いて汚れを落とす。
「もう行くよ!
いい?地面に落ちてるものは触ったりしないの!わかった?」
「…はーい」
マンションのロビーを出ようとした時、ちょうど同じタイミングで中に入ってくる人影とガラス越しに目が合った。
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