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ぼっち─選択はあなたに─

第20章 伯爵の屋敷

 しかしどのみちメイドの服には着替えないといけない。ヒカルは渋々制服のボタンを外すと、ブレザーを脱いだ。

「ちょっとなにそれ、エメラルドの石じゃない!」

 エマが急にヒカルの胸元のペンダントを引っ張る。

「こんな高価な物、なんであんたが!?」

 なんだか嫌な予感がする。

「この石、あたしにちょーだい!」

 そう言うとエマは強引にペンダントを持っていこうとした。

「だめっ! これは知人にもらった大切な……」
「そんなの関係ないわよ。てか、メイドは宝石なんて身に付けちゃいけないんだから! だからこれはあたしがオルバ様に渡しておくわ」
「……」
「なによ、あたしがネコババするとでも?」

 ヒカルが深く頷くと、

「はあ~……そんなわけないじゃない。さっきは思わずちょーだいなんて言っちゃったけど、メイドは高価な物を身に付けちゃいけないし、持ってもいけないの。必ずオルバ様のチェックが入るんだから、あたしもバレちゃうわよ」
「……」
「まだ疑う? 規則なんだからしょうがないでしょ!」

 それでもヒカルはペンダントを渡したくなかった。
 しかし強引に奪われてしまう。

「…ったく、他にも何か隠し持ってないでしょうね?」

 エマは遠慮なしにヒカルの体をペタペタ触った。


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