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　エルザが立ち去ると、家政婦のオルバはヒカルを鋭く睨み付けた。

「エルザ様が優しいからといって、馴れ馴れしくしないように」
「……」
「あと屋敷のことは私かエマに聞きなさい。くれぐれもそんな汚ない格好で出歩かないように」
「…っ…」
「返事は？」
「……はい、わかりましたっ……」

　ヒカルはかたまってヒソヒソと話しているメイドたちの顔を見る。

「エマはあたしよ、ヒカル」

　振り返ると、ヒカルと同じ背くらいの少女がニコッと微笑んで立っていた。
　ショートカットの赤い髪とそばかすが印象的だ。

「この屋敷のことは全部あたしに聞いて。あたし、なぁ～んでも知ってるから！」
「よ、よろしくお願いします……」
「ふぅん、本当にこの服変わってるわねぇ、スカートも短いし！ ねえ、あとでこれ貸してくれない？」
「えっ……」
「大丈夫、すぐ返すから、ね？」

　思ったよりもエマの友好的な態度にヒカルは戸惑う。ただすごく強引な性格のような気がするので、たぶん断っても無駄だろうと思った。

　レイナの宿屋の部屋よりも狭い部屋に入ると、エマは早速服を脱ぎ出した。

「何してるの？ あなたも早く脱ぎなさいよ」

　まさかここでいきなり脱ぐなんて……。