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ぼっち─選択はあなたに─

第22章 闘技場

「残念だよ、クロード。お前は私の忠実な犬になれると思ったのだが」

 ザッハ伯爵が合図をすると、兵士たちは一斉にクロードに斬りかかった。しかしルビーの指輪がカッと光り、兵士たちの目を眩ませる。

「うわあっ……目がっ……目がぁっ……!」

 兵士たちは両目を押さえて後ずさる。
 それを目の当たりにしたザッハ伯爵は呆然としたあと、クックッと笑いだした。

「素晴らしい! これが神の石の力か!」
「神の石……?」
「ああ、クロード。お前が持っているのはただの宝石ではない、神の力が込められた石なのだ!」
「!」
「神の石は4つあってな……それぞれ火、水、風、土の属性の力を持つ。お前が持っているのは恐らく火の属性の石だろう。そしてヒカルが持っていたエメラルドは風の属性」
「ヒカルが……?」
「あの娘も私を頑なに拒んでいたな……でもいい、これからじっくりとなぶりつつ奪ってやるさ」
「!」

 クロードは闘技場で自分が負けた時に不安な表情を浮かべるヒカルの姿を思い出し、歯を食い縛った。

「あんたが何を企んでいるのか知らないが、そんなことはさせないっ……ヒカルは俺が守る!」

 クロードは鋭い瞳でザッハ伯爵を睨み付けた。



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