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ぼっち─選択はあなたに─

第22章 闘技場

「頼む、俺に力を貸してくれっ……!」

 クロードはルビーの指輪に願った。
 ザッハ伯爵の言うように、これが火属性の力を持つ石ならば──。

 カッ

 瞬間、ルビーの石が光ったかと思うと、大きな円を描くように閃光が走った。
 光は炎に変わり、クロードの周りにいるシャドーの姿を照らす。

「!」

 そこには数えきれないほどの複数のシャドーがうじゃうじゃいた。真っ赤な炎に照らされ、シャドーたちはクロードからザッと退く。

 なんとかこの隙に闘技場から出なくては──そう思った時、

「クロード、伏せて!!」

 頭上から声がし、真っ暗な空から複数の火が飛んできた。その火は次々とシャドーに降りかかる。

『ギャアアアアッ!』

 醜い叫び声をあげ、複数のシャドーは炎に焼かれて燃えていった。

「あんたはっ……」 

 クロードは観客席に佇む一人の影を見上げる。

「私はユズリノ。あなたを助けにきたわ!」

 ユズリノは弓矢の先を松明の炎で燃やすと、再びシャドーに向かって矢を放った。

「メキユ、あとは任せたわよ!」

 ユズリノは松明を手にすると、暗くなった闘技場に明かりを灯していく。徐々に明るくなっていく闘技場から今度はメキユが現れ、炎を纏った包丁でシャドーを切り刻んでいった。


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