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ぼっち─選択はあなたに─

第22章 闘技場

「くっ、体がっ……!」

 その音のせいでクロードたちの体は石のように動かなくなってしまった。

「お前たちに恨みはないが、ザッハ様の命令だ。一生石化して、闘技場を飾るシンボルとなるがいい!」

「!?」

 謎の声が頭上から聞こえてきた。
 ユズリノはなんとか声がする方向に目を動かすと、観客席にフードを被った男が佇んでいるのが見えた。

「あなたはっ……」

 フードを被った男はリュートという弦楽器を弾いていた。
 声からして、確かあの男は自分に《禁断の旋律》を教えた張本人だ。しかし逆光でまたも顔が見えない。
 
 石化と聞いて、クロードは老人ギルバートから聞いた話を思い出す。モンブラン城でナツミとギルバートたちは不快な音を聴いて石化してしまった。

「まさか……まさか、お前がナツミをっ……!」

 全ての合点がいくと、沸々と体の底から怒りが込み上がってきた。
 しかもあの男は「ザッハ様の命令」と言った。
 あの男がザッハと繋がっていたということは、モンブラン城の者たちを石化させたのはザッハということになる。

「……くっ!」

 しかし体は徐々に感覚を失い、足元から石化していく。怒りを抑えられないクロードは歯を食い縛った。


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