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ぼっち─選択はあなたに─

第22章 闘技場

 このまま何もできずに石化してしまうのか──。しかもザッハの思惑にも気づかず、ずっとザッハの言いなりになっていたなんて──。

 クロードは自分の不甲斐なさに腹が立った。
 怒りと憎しみと悔しさと悲しさで、どうにかなってしまいそうだった。

「クロード……!?」 

 石化の進行は絶望を感じるクロードの方が早かった。ユズリノがなんとか声をかけるが、その声はクロードの耳には届かない。まるでズブズブと底無し沼に落ちていくようだった。

「クロードぉ!! 目ぇ覚ませぇぇええ゛!!」

 その時、メキユの怒鳴り声が辺りに響いた。
 クロードはハッと我に返る。

「諦めるのはまだ早いべ!!」

 その時、メキユの持つ包丁から薔薇のツルが飛び出した。そしてフード男に襲いかかる。

「なっ、バカな! この状態で攻撃などっ……ぐああああっ!」

 薔薇のツルは男の手足に巻きつくと、トゲを食い込ませながらきつく締め上げた。
 音が止むと、石化の進行も止まった。しかし石化状態が解かれることはなかった。

「くっ……」

 その時、赤い石の指輪が淡く光った。しかしさっきよりも光は弱々しい。クロードの石化状態が解かれると、その光は失われてしまった。

「……っ……」
「行って! 私たちは大丈夫だから行って!」

 クロードが口を開くよりも先に、ユズリノが鋭く言い放つ。クロードは頷くと、闘技場の出口に走り出した。


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