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ぼっち─選択はあなたに─

第7章 ソルトの町(2回目)【選択4】

「あなたを初めて見たとき、ナツミと同じ服を着てるって思ったの」
「え……ナツミって」
「あなたと同じ日本から来たって言ってたわ」
「!」

 ヒカルは動揺した。まさか自分と同じようにこの世界に転生してきた人物がいたとは……。しかも同じ服ということは、同じ学校の制服を着ている可能性がある。

「ナツミっていう人が、ここにいるってこと?」
「半年前にうちの宿屋にいたのよ」
「ええっ! ……ってレイナの家、宿屋なんだ」
「クロードが連れてきたのよ、今日みたいにね。しばらく泊めてやってほしいって」

 そう言うとレイナは眉間にシワを寄せた。

「一瞬、ナツミが帰って来たのかと思ったわ。でも顔が全然違うから別人ね」
「……」

 ヒカルは自分の記憶を遡ってみた。
 転生する前に、自分の周りにナツミという人物はいただろうか。

「ナツミってどんな顔してたの?」
「そうね……あなたよりは美人だったわよ。黒髪のサラサラロングだったわ。よく笑う子で、でも品のある子だった」
「うっ……」

 レイナの言葉がグサグサと胸に突き刺さる。

「モンブラン城に行ってから姿を消して……」
「お客さ~ん! そろそろ閉店しますのでお帰りいただいてよろしいでしょうかぁ?」
「えっ、もうそんな時間!?」

 レイナが慌てて席を立つ。

「長居しすぎたわ、行くわよ、ヒカル!」
「えっ、ちょっ……」

 ゆっくり話を聞けないまま急かされて、ヒカルは慌ててレイナのあとを追いかけようとした。
 その時、女性店員から肩を叩かれる。

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