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ぼっち─選択はあなたに─

第28章 魂の世界

(アクアさんはもう一度ロイドさんと愛し合えますようにって、願いたかったんだ……)

 そしてロイドも何処かでシャドーに襲われ、記憶を失い、シャドー化してしまう自分と戦っていた。
 本来なら二人とも幸せになれるはずだったのに……。

「ヒカル様、あれを」

 ヤクモが森の中を指差した。
 そこにはシャドーが一匹、こっちに向かって近づいてきているのが見えた。

 シャドーは目の前の生き物を捕食する。
 しかし白い犬の前を横切っても襲うことはなかった。

「もしかして、ロイドさんのっ……」

 シャドーはゆっくりと池の中に入り、池の中を泳いで小島に渡った。やはりヒカルたちを目の前にしても襲うことはなかった。

「まだ……そこにいるの?」

 ロイドは最期、アクアの名を呼んでシャドーとなった。もしかしたらこのシャドーにはまだロイドとアクアの心が残っているのかもしれない。
 
 シャドーはツキカゲソウの前で、自分たちの願いを祈っているようにも見えた。

「……っ……」

 胸が締め付けられたヒカルは、二人のためにツキカゲソウに祈った。
 アクアとロイドがシャドーから解放されますように、幸せになりますようにと。

 するとエメラルドの石が反応し、緑色の光がツキカゲソウとシャドーを包み込んだ。

「……っ!」

 シャドーからロイドとアクアの魂が抜けていくのを、ヒカルとヤクモは目にする。


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