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ぼっち─選択はあなたに─

第28章 魂の世界

「君が言わんとしていることはわかる。自分でもとんでもないものを開発してしまったと思ったよ。しかし私は、どうしてもアキラのために自由に生きることができる居場所を作りたかった。手足も動かせない、自分で立つことも歩くこともできない、食事を取ることもできない、一体彼はなんのためにこの世に生まれてきたんだろうと、何度も思った。そしてアキラも……もうこの人生を終わらせたいと願ったんだ」
「……っ……」

 なんて言ったらいいかわからなかった。
 この話を聞くまで、自分が一番不幸だと思っていたけれど、自分よりも苦しんでいる人は沢山いるんだとわかったら、自分がちっぽけな存在に思えてきた。

 父親は彼の計画を知っていたんだろうか。
 いや、知っていたからこそ庇ったんだろう。

「どうして私だけ特別なんですか……?」

 すでにもう魂のみだったなら、こんな真実も知らずにあの世界で生きていられたのに。

「それは自らの意思で、選択していないからだよ」
「えっ……」
「彼らは自分の意思でそれを望んだんだ」
「でも私はっ……自分では行動を決められない呪いをかけられていて……」
「私は君に呪いをかける設定はしていない。君は自分自身に……自ら呪いをかけてしまったんだ」
「! じゃあ魔女はっ……」
「それは君自身が作り出したものだよ」
「……っ!」

 真実がわかった途端、自分を繋いでいた鎖が外れていくような気がした。


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