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ぼっち─選択はあなたに─

第30章 ヒカルの選択

 崖の上のお城に続く細い道を歩いていると、まるであの世界に戻ったような感じがした。

 でも目の前に見えるお城は廃城だ。
 観光スポットになっていて、まだ人がまばらにいる。

 風が強い。
 でもここから見える景色は絶景だ。
 崖の向こう側は海で、反対側を振り向けば、緑の草原がどこまでも続いている。
 久遠さんがこの場所をモデルにしたのも頷ける。

 廃城の中は見学できるけど、真っ暗な空間を見るとシャドーが出てくるんじゃないかって錯覚してしまう。
 あの時はモンブラン城に近寄ることさえできなかったのに……。

 今、私はここに立っている。

「……」

 帰ろう。
 やっぱり何も起きなかった。
 そんな運命の出会いなんて早々あるわけない──と思ったその時、私は砂利で滑って後ろに転びそうになった。

「───大丈夫かっ?」
「す、すみませっ……」

 不意に背中を支えてくれた人の顔を見て、私は心臓が止まりそうになった。
 まっすぐ自分を見つめてくる青い瞳と、銀髪の髪……それは、その姿はクロードだった。

「クロード……!?」

 私が思わずそう言うと、クロードは驚いた顔をした。

「まさかヒカル……? 俺がわかるのか?」

 私はその言葉を聞いて、目頭が熱くなった。

 これは夢?
 それとも私、また違う世界に入っちゃったのかな?

 ううん、夢でもいい。
 またあなたに会えるのなら──!


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