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ぼっち─選択はあなたに─

第30章 ヒカルの選択

 研究所を出てから私は、お母さんの元に戻った。お母さんは泣いていたけど、でもやっぱり私のことを「ヒカリ」と呼んでいた。

 だから私は、自分の力で自分の未来を切り開いていくことにした。

 私はアイルランドの大学に通うことにした。
 あの写真の場所に行きたいと思った。
 そして久遠さんが言ってくれた『運命の出会い』が、私の背中を押してくれた。

「ヒカル、おはよう」
「おはよう、メリー」

 アイルランドの大学ではすぐに友達もできた。
 最初は不安だったけど、みんな私の存在をすぐに受け入れてくれたから、今はとても穏やかで心地いい生活を送っている。

「そういえばさっき、とてもかっこいい日本人男性を見たのよ。誰かを探してるみたいだったわ」
「えっ……」

 私はふとあの人のことを思い出した。

「そんな、まさかね……」

 久遠さんの言っていた『運命の出会い』はまだ訪れてはいない。最初は期待していたけど、もしかしたらその出会いはここではないかもしれない。

 でも、できるならもう一度会いたい。
 もしツキカゲソウがこの世に存在するなら、私は強くそう願うだろう。

 授業が終わって大学を出る時、私は久遠さんから貰った写真の場所にどうしても行きたくなった。

 以前行ってみたけど、何も起きなかった。だからきっと今回も何も起きないはず……とは思うのに、なぜか胸がざわついた。


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