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ぼっち─選択はあなたに─

第8章 カボチャ祭り

 モンブラン城は確か「嘆きの城」と呼ばれている、とクロードが言っていた。

「それについてはあとで討伐隊と話をすることになっておる。お主もな。みんなお主が目を覚ますのを待っていたんじゃ」
「!」

 討伐隊と聞いて、ヒカルはクロードのことを思い出した。さっきレイナも言っていたが、あの時襲ってきたシャドーはなぜかクロードの声の真似をしていた。
 シャドーは基本、食べた生き物の声の真似をする。しかしクロードは生きている。その謎はもしかしたら、モンブラン城から逃げてきたこの老人が知っているかもしれない──。

「まあ、とりあえずは心配しなさんな。お主が助けたかった子供も今は元気じゃ。しばらくはこの町でゆっくりするといい」
「!」
 
 そう言うと、老人はゆっくりと階段を下りていった。

(子供──やっぱりシャドーじゃなかったんだ! 良かった……! それにしてもあのおじいさん、私のこと全てお見通しって感じでちょっとこわいんだけど……)

 ヒカルは自分の部屋に戻ると、綺麗に折り畳んである制服をクローゼットから取り出した。クロードから借りた皮の服は見当たらないが、きっとレイナが返してくれたのだろう。

 制服を着ると、取れかけていたボタンがしっかりと縫われていることに気づいた。よく見ればほつれかけていたスカートの裾も直っている。

(レイナ、仕立て屋さんに出してくれたのかな……ってあれ? 私ここに来たばかりなのに、なんで仕立て屋さんがあること知っているんだろう)

 なんだか記憶がごちゃ混ぜになっている感じがする。

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