お酒とオールバックに溺れる夜
第16章 第16酒 -お墓参りの味-
「毎年...
行こうと思って
結局、行けてないんだよな...
墓参り」
「...
どうして...ですか?」
「未だに怖いんだよ...
拒絶されてるようで...」
「...」
私は、何と言っていいか
分からずに
黙って聞くことしか出来なかった。
「親父から聞いたんだろ?
弟のこと
中2から高3まで、
俺は隆太として生きた
優等生の
お利口ちゃんになって...
お袋から、
俺の名前が呼ばれることはなくなって
俺の存在は消えていった
俺が弟に
成りきれば成りきるほど
お袋は、
とても幸せそうで
俺は
虚しくなってた
でも、
高校卒業式の日
とうとう
我慢できなくなって
俺は純だ
隆太じゃないって
言っちまったんだよ...
それで、お袋は
錯乱して
自殺しちまった...
だから
怖いんだ、
俺として、会いに行くことが」
純さんの淡々とした
告白は
あまりにも
悲しかった。
まるで
母親からの愛情を求めてる
子供みたいで
寂しいと叫んでいるように
見えた。
行こうと思って
結局、行けてないんだよな...
墓参り」
「...
どうして...ですか?」
「未だに怖いんだよ...
拒絶されてるようで...」
「...」
私は、何と言っていいか
分からずに
黙って聞くことしか出来なかった。
「親父から聞いたんだろ?
弟のこと
中2から高3まで、
俺は隆太として生きた
優等生の
お利口ちゃんになって...
お袋から、
俺の名前が呼ばれることはなくなって
俺の存在は消えていった
俺が弟に
成りきれば成りきるほど
お袋は、
とても幸せそうで
俺は
虚しくなってた
でも、
高校卒業式の日
とうとう
我慢できなくなって
俺は純だ
隆太じゃないって
言っちまったんだよ...
それで、お袋は
錯乱して
自殺しちまった...
だから
怖いんだ、
俺として、会いに行くことが」
純さんの淡々とした
告白は
あまりにも
悲しかった。
まるで
母親からの愛情を求めてる
子供みたいで
寂しいと叫んでいるように
見えた。