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お酒とオールバックに溺れる夜

第16章 第16酒 -お墓参りの味-

「俺がお袋を
自殺に追いやった

こんな俺のこと
許してくれないだろ...

来てもほしくないだろうな...」

私は
泣きながら
必死に言葉を繋いだ

「っ...それは...違う!

違うと...思います!」

「何が違うんだよ...」

純さんの
目が
キッと鋭くなった

「純さんが
お母様のこと
許せてないんじゃないですか?」

「...」

純さんは、言葉を失った。

「自分の存在を認めないまま

身勝手に死んでしまった
お母様を!

もう甘えることも
話すこともできない
お母様に対して

恋しさ
悲しさ
寂しさ
辛さを

憎しみや
怒りに

変えているから

会いに行けないんじゃないですか?」


私は
自分の気持ちと
重ね合わせていた。

母親を失くした寂しさは
いつの日か

私を一人置いていった
怒りへと変わっていたからだ。

そうしないと
寂しすぎて
辛すぎて
生きていけないから。

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