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お酒とオールバックに溺れる夜

第6章 第6酒 -嫉妬の味-

私の告白から、
当然、
進展なんてありはしないし、
純さんの態度も変わらない。

ただただ、
日増しに純さんへの
思いが募っていくばかりで、

他のお客さんにまで
私の気持ちはダダ漏れ状態だった。

カウンターで飲んでいると、
接客しながら
動き回っている純さんの姿を
目で追ってしまう。

なんて、
楽しそうに働いているのだろう...

見ている私まで楽しくなって、
純さんの姿が眩しかった。

他のお客さんには、
陽気で丁寧な接客なのに、
私には言いたい放題。

少し冷たくて
たまに優しい。

その違いさえも心地よかった。

「おい、ストーカー!見るな」

急に話しかけられて
驚いてると、

回りの常連さん達も
私を見て、
クスクス笑っているのに気づいた。

「未亜ちゃんってさ、
本当にオーナーのことばっかり見てるよね

カウンターじゃ有名だよ
また見てるよって...」

孝哉さんの言葉に赤面した。

他の人が目に入らないぐらい、
純さんに夢中だったのだ。

けれど、
このやり取りを
笑って見ていない常連さんがいたことに、
私は気付いていなかったのだ。

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