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お酒とオールバックに溺れる夜

第9章 第9酒 -家族の味-

「壊れていく母親を見ているのは
相当辛かったと思うよ...

純は自分を殺して、
弟になりきることで

母親を救おうとしたんだ...」

私は
嗚咽を堪えながら
聞くことしか出来なかった。

遠い昔を思い返すように
話をしていた
お父様は

はっと我に返ると
泣いている私に
慌てている様子だった。

「未亜さん、驚かせてしまって
悪かったね...

泣かせるつもりじゃなかったんだ

私は、純に何もしてやれなかった
だから...

未亜さんには
このことを知っていて欲しくてね...

あれは、
自分から進んで
身の上話をするような
柄じゃないだろ?」

お父様の目を見ながら
頷くのが
やっとだった。

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