新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第9章 小山さん
小山「はい、僕が20歳の頃だったかな…両親にものすごく説得させられて…嫌々会社で働くことになったんです…」
小山「一見息子思いの両親って思うかもしれないけど…違う。息子が引きこもりだって世間に知られたら恥をかく…要するに自分達の為に僕を無理矢理会社に入れたんです…」
小山「結局そこでもちやほやされて…障害を持ってる僕は全く人の顔と名前を覚えられず…入社して1ヶ月ほどで辞めました。」
聖輝「えっ、1ヶ月で辞めちゃったんですか?」
小山「はい…これをきっかけに僕は両親と不仲になり…家を出ました。」
小山「お金も無くて…頼れる人もいなくて…途方に暮れていた時に…叔父と会ったんです…」
小山「そして…記憶障害でも働ける…今の仕事を紹介してくれたんです…」
聖輝「そうだったんですか…」
小山「叔父には感謝しています…仕事もアパートも紹介してくれて…やっと普通の暮らしができるようになったんです。」
聖輝「よかったですね…小山さん…」
小山「はい…それに…今の仕事好きなんです。」
小山「今でも叔父のおかげで周りから贔屓にされていますが…両親と一緒にいる時よりも気持ちが楽なんですよね。」
小山「それに、前までは黙々と一人で仕事をするのが好きだったんですけど…」
小山「今は違う…誰かと…いや、きみとお話するのがすごく楽しいんです。」
聖輝「えっ?」