新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第9章 小山さん
小山「すいません…ご迷惑かけて…」
聖輝「いっいえ…あの…小山さんって先生達に人気あるんですね。」
小山「えっ?」
聖輝「いや、あの…飲みに誘われたり…プレゼント貰ったりとか…」
小山「あぁ、あれですか…あれはおそらく…僕が理事長の甥だから…周りから贔屓されてるんです…」
聖輝「えっ?」
小山「叔父はすごく顔が広くて、権力者でもあるので…誰も逆らえないんですよ…」
聖輝「そうなんですか……」
小山「…だから理事長の身内である僕に対しても皆さんああいう態度を取られるんですよ…」
聖輝「へぇ……」
小山「もしかしたら…贔屓と記憶障害が関係してるのかもしれません…」
聖輝「えっ?」
小山「僕の父親が海外で事業をしてるんです…IT関係の…」
小山「事業は成功して…小さい頃から裕福な生活を送っていました…」
小山「お金持ちだったから…僕の同級生や会社の人達からもちやほやされ…何不自由なく生きてきました…」
小山「でも…僕…心のどこかで…ちやほやされる毎日にうんざりしていたのかもしれません…」
聖輝「うんざり…?」
小山「はい…誰も本当の僕を見てくれようとしていない…見ているのは両親のご機嫌だったから…」
小山「交通事故で記憶障害を持ってからは…人と会っても名前と顔が全然覚えられなくて…」
小山「周りからの贔屓と記憶障害のしんどさが重なって…高校に入ってから部屋に引きこもるようになったんです…」
小山「単位は親が裏で金を回していたらしく、何事もなく卒業はできたのですが…その後働く気にもなれずに…ニート生活を送ってました…」
聖輝「ニート生活…」
小山「はい…ずっと部屋に篭ってはパソコンをいじって…本当に自堕落な生活でしたね…」
聖輝「そうだったんですね…」
小山「でも、ニート生活を脱却するきっかけがあったんです…」
聖輝「もしかして…この学校の管理人の仕事ですか?」
小山「いえ、ここに来る前に親の会社にコネ入社してるんです…」
聖輝「コネ入社…?」