新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第12章 ケルベロス
コンコンコンッ
ガチャッ
聖輝「失礼します……」
櫻井「聖子ちゃん……」
おっ…怒ってる…
櫻井「こっち来て。」
聖輝「…はい……」
僕は翔くんの横に腰を下ろした。
櫻井「聖子ちゃん…さっきさ…」
聖輝「はっ…はい…」
櫻井「男の手握ってたよね?何で?」
聖輝「えっ…あの…1週間博多に出張される方だったので…その…」
櫻井「へぇ…会えなくなるって思うと寂しくなって手握りしめたの?」
聖輝「はっ…はい…」
櫻井「…そう……」
聖輝「…ごめんなさい……」
櫻井「…いや、接客だから…仕方ないよね…」
聖輝「えっ…?」
櫻井「聖子ちゃん人気あるからさ…他の客からすると俺って鬱陶しい存在だと思うんだよね。」
櫻井「俺がお店に来たら聖子ちゃん取られるし…」
櫻井「俺自身もさ…他の男とイチャつく聖子ちゃんは見たくない…見たくないけど…俺がやってることと考えたら…同じなんだよね…」
櫻井「俺と同じように聖子ちゃん目当ての客も嫉妬してる…だから…俺が聖子ちゃんにものを言う資格なんてないんだよ…」
聖輝「翔くん……」
櫻井「ごめんね聖子ちゃん…怖かったよね…もう…嫉妬して八つ当たりなんかしないから…」
聖輝「…はい…ありがとうございます…」
櫻井「うん…そうだ、聖子ちゃんこれ。」
聖輝「えっ?」
櫻井「この間のプレゼント。」
聖輝「わぁ…ありがとうございます!」
僕は翔くんからプレゼントを受け取り、袋を開けた。
聖輝「あっ…これ……」
櫻井「デジタルフォトフレーム。」
聖輝「あっ…この写真…」
フォトフレームに写っていた写真は土曜日にデートした時の僕達だった。
櫻井「初デートの記念として…残しておきたかったんだ…」
聖輝「わぁ…素敵ですね!」
櫻井「よかった、喜んでくれて。」
聖輝「こんな素敵なプレゼント…ありがとうございます!」
櫻井「これね、他にも写真入れることできるから、たくさん想い出が溜まるよ。」
聖輝「すごい!こんなものが売ってたんですね。」
櫻井「そうだね、フレームもすごい可愛いよね。」
聖輝「はい…これ、大切に使いますね。」
櫻井「うん。」
僕はしばらく写し出される写真を眺めていた。