新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第13章 忠義くん
聖輝「あの…交通事故なんですよね?そのケガ…」
忠義「うん…確か半年前やったかな…一瞬のうちに身体全身に痛みが走って…」
聖輝「うわぁ……」
忠義「事故の記憶がほとんどないねんけど…多分大型の乗り物と接触したんやろね…」
聖輝「よかったですね…生きてて…」
忠義「ホンマに…奇跡としかいいようがないもん。」
聖輝「ですよね…」
忠義「それから今日まで入院生活送ってるってわけ。」
聖輝「そうですか…家族の方も心配してるんじゃないですか…?」
忠義「せやね…おかんにも迷惑かけてるからな…」
聖輝「お母さんと…2人暮らしだって聞きました…」
忠義「うん、俺が中1の時に離婚してな…兄ちゃんがおとんに、俺がおかんについていくことになってさ…」
聖輝「そうですか…」
忠義「兄ちゃんもさ、おかんについて行く予定やってんけど、大阪の方で就職決まってたから…おとんの方についていってん…」
忠義「でもな、兄ちゃんウチにお金振り込んでくれるし、連絡もくれるし、俺が入院している時だってわざわざ大阪から来てくれるねん。」
聖輝「本当優しいお兄さんですね。」
忠義「せやね…俺の自慢の兄ちゃんやわ…」
聖輝「お兄ちゃん…か……」
いいなぁ…兄弟がいて……
聖輝「………。」
忠義「…聖輝くん…?」
聖輝「…あっ…ごめんなさい……」
忠義「どないしたん?涙…出てるで…?」
聖輝「えっ?あれ…いつの間に…」
忠義「ごめん…家族のこと…思い出しちゃった…?」
聖輝「ぐすっ…ごめんなさい……」
忠義「……ごめん…俺が泣かせちゃったね…ごめん…」
そう言って、忠義くんはそっと僕の頭を撫でてくれた。