テキストサイズ

新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜

第13章 忠義くん



忠義「そっか、お父さん毎年聖輝くんの誕生日の日は必ず定時で帰ってきてたんやね。」


聖輝「はい、誕生日ケーキを買ってきてくれるんです。」


忠義「めっちゃええやん!俺なんか母親特製の訳分からんケーキ出てくるからな。」


聖輝「訳分からんって、あははっ!」


忠義「いやいや、ホンマやって!中3の時なんてゴマ団子にハマったか何かでゴマのケーキが出てきてん!」


聖輝「ゴマ団子?あれ美味しいじゃないですか!」


忠義「そりゃあお土産のやつは美味しいよ?でもオカンは料理下手くそやから…生クリームに黒ごま入れただけのケーキやったからな。」


聖輝「えぇっ?!そのまま入れちゃったんですか?!」


忠義「せやねん!生クリームに黒い点々が浮かんでて…気持ち悪かったわ!」


聖輝「あらま…」


忠義「でもまぁ…手作りケーキを作ってくれるだけでも…母親の愛を感じるよな…」


聖輝「そうですね、いいお母さんです!」


忠義「ありがとう。」


聖輝「いえいえ…」


忠義「…どう?今も悲しい?」


聖輝「えっ?」


忠義「家族の話してて、悲しいって思う?」


聖輝「今は…楽しいです。」


忠義「そっか、良かった。」


聖輝「忠義くんのおかげです…」


忠義「えっ?」


聖輝「忠義くんが大丈夫だよって…受け止めてくれるから…自然と両親のこと話しちゃいました。」


聖輝「不思議ですよね…友達の前じゃなかなか話せないのに…忠義くんの前だったら気が楽になる…」


忠義「良かった…そう思ってもらえて…」


聖輝「ありがとうございます。」


忠義「聖輝くん…これからも家族のこと…時々思い出したって?」


聖輝「えっ…?」


忠義「大好きな子どもに思い出してもらわれへんのって…天国にいるお父さんお母さんにとってすごい悲しいことやと思う。」


忠義「それだけじゃない、お父さんもお母さんも…悲しんでる涼野くんの姿見るの辛いと思う。」


忠義「せやから…無理に笑えとは言わへん。けどな…悲しい顔せんとってあげて…?」


聖輝「忠義くん……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ