新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第4章 狂犬
狂犬「グルルル…ググッ…グ……」
次第に狂犬は元の狛犬さんへと戻っていった。
狛犬「……。」
聖輝「……。」
僕はあまりにも衝撃的すぎて、身体が震えていた。
狛犬「…涼野くん……」
聖輝「……。」
狛犬「良かった…無事で……」
聖輝「……。」
狛犬「涼野くん…ごめん…今まで黙ってて……」
聖輝「……狂犬って……」
狛犬さんのことだったんだ……
狛犬「…ごめん……」
聖輝「…どうして…僕のことを…助けてくれたんですか…?」
狛犬「…初めて会った時から…守りたいって思ったんだ…」
聖輝「えっ…?」
狛犬「きみがあまりにも怯えている姿を見て…咄嗟に身体が動いて…あいつらをボコボコにしてた…」
狛犬「俺さ…誰かの為に喧嘩したことなくてさ…自分の為だけに喧嘩してきた…」
狛犬「正直誰かがカツアゲされてたとしても…やってる人が強そうな感じだったら声かけるけど…そうじゃなかったら素通りするし…」
狛犬「涼野くんに絡んでいた不良も…一部では有名だったらしいけど…俺は全く知らなかったし興味もなかった。」
狛犬「でも…あの時涼野くんを見て…何だろう…よく分からないけど…守りたいって…思って…」
狛犬「不思議だよね!初めて会った子に対してそんな感情が出てくるなんて…」
聖輝「狛犬さん……」
狛犬「俺のこと…怖い?」
聖輝「えっ?」
狛犬「そりゃあ怖いよね!だって…狂犬って呼ばれてるから…」
狛犬「狂犬の姿になるとさ、周りが見えなくなって…相手を徹底的に攻撃しちゃうから…」
狛犬「それに爪や八重歯も鋭くなっちゃうし…血があちこちに飛び散ったりするし…」
狛犬「ごめんね!これからはもう…極力涼野くんに近づかないようにする…」
狛犬「怖い思いさせて…ごめん…」
聖輝「……。」
狛犬「…じゃあ…俺…行くね…」
聖輝「…待ってください……」
ギュッ
狛犬「えっ…?」
僕は狛犬さんの手を握り、引き止めた。