新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第6章 FULL MOON
二宮「お前さ、あのお金どうしたの?」
聖輝「あぁ…あれは…まだ僕が持ってます…」
狛犬「えっ、まだ見つかってないの?」
聖輝「はい…さりげなく他のクラスの様子を伺ってたのですが…」
二宮「もう諦めてさ、使えよ。」
聖輝「だっダメですよ!これは魔王のお金なんだから!」
狛犬「いやぁ…それ絶対違うと思うよ?」
二宮「同じく、あの魔王がこんな事する訳がない。」
聖輝「でっでも…あのカメレオンの時計は…魔王の特徴のひとつなんですよね?」
狛犬「まぁ、そうだけど…」
二宮「その時計もさ、見間違いだろ。」
聖輝「えっ?」
二宮「魔王と会ったら最後、死を見るって言われてるのに…そんな街中で人助けするはずがない。」
二宮「きっと似たような時計と見間違えたんだよ。」
聖輝「えぇ…そうなんですかね…」
狛犬「仮にさ、それが魔王のお金だとしてもさ…関わらない方がいいよ。」
二宮「自分の命が惜しければね。」
聖輝「……。」
魔王って確かに恐ろしい人だ…
でも、あの時会ったあの人は…
とてもそんな悪い人には見えなかった…
狛犬「じゃあ、俺達こっちの校舎だから!」
聖輝「あっはい、さようなら。」
二宮「…ふふっ」
聖輝「???」
一瞬二宮さんが僕を見てクスッと笑っていたけど…
聖輝「まぁいいか。」
僕は特に気にせず教室へと向かった。