新・Beast〜獣たちに好かれた僕〜
第6章 FULL MOON
櫻井「聖子ちゃんはさ、何でここで働こうと思ったの?」
聖輝「えっと…それは……」
お金の為だって言ってもいいのかな…
櫻井「見る限り…興味があるって感じじゃなさそうだね。」
聖輝「…ごめんなさい…ちょっとお金に困ってまして…」
櫻井「そうなの?」
聖輝「はい…実は……」
僕は櫻井様にこの間のスーパーでの出来事について話した。
櫻井「そっか…そんなことがあったんだ…」
聖輝「はい…」
櫻井「良かった…聖子ちゃんが無事で…」
本当、あの人がいなかったら……
櫻井「あの辺ってさ、結構ガラの悪い連中が溜まってたりするから…気をつけなよ?」
聖輝「はい…」
この人は僕のことを心配してくれている…
やっぱり始業式に見たケルベロスとは…
他人の空似……
櫻井「まぁ…要するにその時助けてくれた人にお金を返したいけど、半分盗られたからその分ここで働いて稼ごうってことだよね?」
聖輝「はい…情けないことにお金を盗られてしまいました…」
櫻井「聖子ちゃん…俺で良かったらお金工面するよ?」
聖輝「えっ?いっいやいや!そんな大金貰うわけには…!!」
櫻井「もちろんタダであげるわけじゃないよ。」
ギュッ
櫻井「俺、聖子ちゃんのこともっと知りたい。」
聖輝「えっ?」
櫻井「俺と1日中付き合ってくれたら…お金を工面する。どう?」
聖輝「あっあの…それって…」
櫻井「聖子ちゃん、俺とデートしよ?」
聖輝「でっ?!」
デート?!
無理無理!!
だって僕男だし…絶対にボロが出る…!!
櫻井「ね?いい話だと思うけど?」
聖輝「あっいや……」
確かにおいしい話だけど……
聖輝「…ごめんなさい……」
櫻井「えっ…」
聖輝「こうして櫻井様とお会いできて…楽しいひと時を過ごさせて頂いて…すごく嬉しいのですが…」
聖輝「元々は私の不注意によってお金を盗られてしまったので…」
聖輝「ちゃんと…自分で働いて…お金を返したいんです……」
櫻井「聖子ちゃん…」
聖輝「……。」