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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第21章 疼き

そんな
私の気持ちを察してか

「そんな泣きそうな顔をするな
明日には帰る
 
夜は電話をするから
これを必ず持ってろよ」

耳元で優しく囁くと
要様は私の頬を撫で

ポケットから何かを取り出し
私に差し出しました

「俺からの連絡を無視すんなよ」

そう
これは
要様と私を繋ぐ
極貧な私が
人生で初めて手にした
携帯電話でした

「要様…嬉しい
ありがとうございます
大切にします!!」

大はしゃぎする私を見て
要様は優しく微笑み

私のおでこに
軽く唇を寄せました

「続きは、帰ってきてからな」

そう言い残して
要様は出発してしまい

私は携帯を握り締め
身体の芯を熱くさせてしまったのでした

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