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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第24章 ハッピーエンドのその先へ

「お母さん、この家どうしちゃったの??」

「カナちゃんがね...
夏目を嫁に貰う代わりにって
 
大金を準備してくれたの。」

「えぇ!!」

「お父さんの工場も助けてくれて、
おかげで倒産せずに済んだのよ。
 
借金を返してくれただけでなく
新しい取引先も紹介してくれてね。

カナちゃんには、本当に助けてもらったの。」

「ちょっ、待ってお母さん。
 
嫁に貰うって何?
 
何で、カナちゃんって親しげに呼んでるの??」

混乱する頭の中
カナちゃんという
懐かしい響きに
違和感を覚えたのでありました。

「夏目、覚えてないの!?
 
あなたが小さい時、
雨降りの日に
家に連れてきたんじゃないの。

すっごい勘違いして
カナちゃんを女の子だと思って
妹が出来たって大はしゃぎしてたでしょ!」

母の言葉に
昔の記憶が蘇りました。

大雨の日、
道路の真ん中で

立ち尽くしている女の子が
あまりにも悲しくて
愛おしくて

その手を握って離せなかったことを。

あの女の子は
要様だったのだと
ようやく気づいた瞬間でありました。

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